特異なリンパ管型を呈した原発性皮膚ノカルジア症の1例

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タイトル別名
  • A Case of Lymphangitic Nocardiosis.

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抄録

リンパ管型と考えられる原発性皮膚ノカルジア症の1例を報告した。3年前の夏に自宅庭のガラスで刺傷後,左肘部に結節が出現した。近医で抗生剤,抗真菌剤投与などが行われていたが,左腋窩に皮疹が拡大したため当科入院。左上肢に表面にびらんと痂皮を伴う境界明瞭な紅色結節を認め,左腋窩に10数個の結節が散在し,漿液性の滲出液を伴っていた。表在リンパ節は触知しない。病変部の組織は非特異的肉芽腫性炎症で,特殊染色を用いたが組織切片中に菌要素を認めなかった。また病巣からの滲出液中にも穎粒を認めなかった。組織の抗酸菌培養は陰性。皮内テストでは,スポロトリキン反応(-),PPD陰性,DNCB貼付試験で細胞性免疫能の低下が示唆された。組織片の培養でNocardia brasiliensisを分離した。以上より皮膚リンパ管型ノカルジア症と診断した。Imipenem cilastatin(IPM/CS), ST合剤投与にて,略治した。皮膚リンパ管型は一般的に急性に経過するが,本症例では宿主の免疫能の低下が臨床形態の発現に大きく影響していることが予想された。また,IPM/CSの著効したNocardia brasiliensisであった。

収録刊行物

  • 西日本皮膚科

    西日本皮膚科 64 (2), 207-210, 2002

    日本皮膚科学会西部支部

参考文献 (9)*注記

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