高分解能FE‐SEM/ESB/ASBの拓く新たなナノ表面分析の世界

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タイトル別名
  • Impact of high resolution FE-SEM/ESB/ASB in nano–surface analysis
  • 高分解能FE-SEM/ESB/ASBの拓く新たなナノ表面分析の世界
  • コウ ブンカイノウ FE SEM ESB ASB ノ ヒラク アラタ ナ ナノ ヒョウメン ブンセキ ノ セカイ

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抄録

電子顕微鏡の分野の進歩は目覚ましく、SEMの分野でも1kV以下の低加速電圧で高分解能観察ができるFE-SEMが登場し、ガラスやプラスチックなどといった非導電性試料でも表面をそのまま観察できるようになった。市販されている高分解能FE-SEMのカタログをみると、1kVの加速電圧で1.5~1.8nmの分解能が保証されている。試料を10万倍で観察した場合、1.5nmは画像ではわずか0.15mmにすぎないので、これだけの分解能があれば20~30万倍といった高倍率で撮影しても十分に鮮明な像が得られる。さらに本研究で使用したFE-SEM (Carl Zeiss Ultra 55)のように、エネルギーおよび角度選択性をもつin-column型の反射電子検出器(ESB; Energy and Angle Selective Backscattered Electron Detector)や、試料の表面すれすれにMott散乱されてきた電子のみを選択的に検出することでチャンネリング コントラストが強調された像を得ることができる検出器(ASB; Angle Selective Backscatterd Electron Detector)などを搭載した機種が登場し、"SEMは光学顕微鏡の延長で、表面の形態観察だけ"というこれまでの概念は大きく変わろうとしている。 こうしたFE-SEMの進歩と歩調を合わせるかのようにX線検出器の進歩も著しい。たとえば、EDX点分析をするのに、これまでのSi-Li検出器ではS/N比のよいスペクトルを得るためには100秒程度かかったものが、最近登場したSDD検出器(Silicon Drift Detector)を用いればわずか1秒で済み、これまで数十分かかっていたEDX mappingも数十秒程度の短時間で済む。つまりSEM像を撮るのと同じ感覚でEDX mappingができるという今までだれも想像もしなかったような新たな時代が到来している。分析時間の大幅な短縮は単にスループットの飛躍的な向上にとどまらず、EDXのような局所分析では分析精度の向上ももたらすため、FE-SEMとX線検出器の進歩の相乗効果は計り知れない。 本稿ではAlの場合を例に、ESBおよびASB検出器を搭載した高分解能FE-SEMによりどのようなことができるのかを解説する。

収録刊行物

  • 軽金属

    軽金属 56 (8), 454-458, 2006

    一般社団法人 軽金属学会

被引用文献 (8)*注記

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参考文献 (21)*注記

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