ギャップジャンクションチャネルの化学的ゲーティング機構:コネキシン43のカルボキシル末端の役割について

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タイトル別名
  • <I>Chemical gating of gap junction channels: role of carboxyl terminal of connexin 43 as a regulatory domain</I>

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抄録

心筋虚血における重要な死亡原因のひとつに致死性不整脈がある.その発生機序として, 細胞内アシドーシスが細胞間の物質輸送の経路である心筋ギャップジャンクション (GJ) チャネルを閉じ, 伝導遅延を起こすためにリエントリー性の不整脈が発生すると考えられている.GJはコネキシン (Cx) とよばれる蛋白の12量体から構成され, 心室筋細胞に最も多くみられるCx43 (分子量43kD) は刺激伝導に重要な役割を果たしている.Cx43は4つの膜貫通領域, アミノ末端 (NT) , 細胞内ループ (L) , カルボキシル末端 (CT) , 細胞外ループ (E1, E2) をもつ.このうちCTは, 鎖につながれたボールのような状態で存在し, アシドーシスの状態ではボアに近接するレセプターと結合してチャネルを閉じる働きをもつ.in vitroの研究 (ペプチド結合実験) では, Lの後半部分 (L2) がCTに対するレセプターの可能性が高く, その結合はアシドーシスでより促進される.虚血性不整脈の予防のためには, アシドーシスにおけるGJチャネルの閉口を阻害すること, すなわちCT-L2結合を阻害することが必要である.われわれは合成L2ペプチドの細胞内投与により, CTと内因性のL2部分との結合を競合的に阻害することに成功した.これらのデータから, 合成ペプチド投与による虚血性不整脈の予防と治療の可能性が示唆された.

収録刊行物

  • 心電図

    心電図 27 (3), 196-203, 2007

    一般社団法人 日本不整脈心電学会

参考文献 (16)*注記

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