虫垂切除後に病理診断された腹部放線菌症の1例

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タイトル別名
  • A CASE OF ABDOMINAL ACTINOMYCOSIS CURED BY PENICILLIN ANTIBIOTICS, DIAGNOSED BY HISTOPATHOLOGICAL EXAMINATION AFTER APPENDECTOMY

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抄録

症例は61歳, 男性. 1週間以上続く右下腹部痛を主訴に来院した. 腹部CT・USにて, 腫大した虫垂と虫垂底部に連続する液状成分を含む充実性腫瘤像が指摘され, 腫瘍形成を伴う虫垂炎の診断にて虫垂切除術が施行された. 開腹所見では, 虫垂は腫大と壁肥厚が著明で周囲に膿瘍形成が認められ, 虫垂が癒着した後腹膜は高度の炎症を伴い硬化・肥厚が著しかった. 術後, 第2世代セフェム系抗生剤を点滴静注したが, 発熱, 創部からの排膿などの感染が遷延した. 病理組織検査にて放線菌症と診断されたためペニシリン系抗生剤の筋注投与に変更したところ, 症状は著明に改善し投与後3週で創部瘻孔が閉鎖した. その後, 経口ペニシリン系薬剤を術後3カ月まで継続投与したが, 術後1年8カ月無再発である. 腫瘤形成を伴った虫垂炎で, 術後も膿汁排泄などの感染が遷延する症例では, 放線菌感染症も考慮した化学療法選択が重要である.

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