治療に難渋した特発性食道破裂(Boerhaave’ syndrome)の1症例

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  • A Case Report of Spontaneous Esophageal Rupture

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抄録

33歳, 男性, ビールを飲酒し嘔吐した直後より胸痛を自覚。同日夜間に当院呼吸器内科を受診し気胸の診断にて入院となった。翌日症状増悪し胸部CTおよび上部内視鏡にて特発性食道破裂と診断され外科へ転科となった。発症から手術までに20時間以上経過し下部食道にひどく汚染された7cmの裂創を認めたため, Tチューブドレナージを選択した。術後膿胸, 縦隔炎から敗血症に至り長期ICU管理を要したが適切なドレナージと経腸栄養管理により84病日より経口摂取を開始。109病日退院となった。特発性食道破裂は腹部救急領域では比較的稀な疾患であるが, 発症後すみやかな治療を施されなければ致死率の高い救急疾患である。保存的治療・外科的治療いずれにおいてもドレナージが第一選択であり, 本症例でも適切なドレナージにより救命し得た。嘔吐後に伴う胸痛や違和感などを訴えて来院された患者に対し, 本症を疑うことが救命率の向上に繋がるものと思われた。

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参考文献 (19)*注記

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