骨格性下顎前突症に対する外科的矯正治療前後の正面顔貌変化

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タイトル別名
  • Changes in Frontal Facial Appearance after Surgical Orthodontic Treatment in Skeletal Mandibular Protrusion Cases : The Usefulness of Standardized
  • Facial Photographs of the Frontal Facial Appearance
  • 正面顔面規格写真の有用性に関して

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抄録

顎顔面形態に著しい変形が認められる骨格性不正咬合症例においては, 矯正治療のみでは十分な機能的・審美的改善が期待できないため, 外科的矯正治療が積極的に行われる.したがって, 外科的矯正治療によって生じる顎顔面の硬組織上の形態変化と, それに対応する軟組織の関係を明らかにすることは, 治療計画立案上で極めて重要である.そこで本研究では, 心理的・社会的背景からも重要である正面顔貌の評価に対して, 顔面規格写真が有用であるか検証した.さらに, 正面顔貌規格写真の治療前後における変化と正面・側面エックス線規格写真の硬組織変化の関連性について検討を加えた.その結果, 骨格的下顎前突症に下顎枝矢状分割術を施行した際, 治療後の正面顔貌は丸くなることがわかった.また, 近位骨片の側方移動を伴うような下顎の移動は, 顔面各部位の幅径や高径, 非対称率や口唇の傾斜にも影響を与えるが, その影響は鼻翼や内眼角には及ぼないことが示唆された.しかし, 今回の結果から顔貌写真の限界も明らかとなった.規格化された顔貌写真から治療前後で有意な差を抽出できたのは, 正面顔貌の幅径や高径に関する一部の計測項目, オトガイ部の角度, SMe deviation, Go planeなどに限られていた.したがって, 顔面規格写真は正面顔貌の水平方向の評価には有用であるが, 更に正確な評価と予測のためには, 新しい三次元シミュレーション技術の開発が必要であると考えられた.

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参考文献 (36)*注記

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