遺伝子改変マウスの作製法  3  相同組換え法による遺伝子破壊マウス作製技術

  • 竹田 直樹
    熊本大学 生命資源研究・支援センター 動物資源開発研究部門 技術開発分野

書誌事項

タイトル別名
  • Gene targeting in embryonic stem cells through homologous recombination
  • 相同組換え法による遺伝子破壊マウス作製技術
  • ソウドウ クミカエホウ ニ ヨル イデンシ ハカイ マウス サクセイ ギジュツ

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抄録

今日,遺伝子改変マウスは個体における遺伝子の機能を解析する上で必要不可欠な材料となっている.ES細胞を用いた相同組換え法による遺伝子破壊マウス作製法は既に確立されており,如何により効率よく確実にそれをおこなうかが求められる.LIFの発見などで培養条件が確立されつつあるとはいえ,ES細胞を生殖細胞系列への分化能を喪失しないように培養するには未だ注意を要する.またES細胞からのキメラマウス作製には高度な技術的習得が必要である.しかし最も問題となるのは遺伝子を破壊する方法であり,組換え頻度や表現型はベクターの構造に左右されると言っても過言ではない.本稿ではこれから遺伝子破壊マウスを作製する研究者に向けて,相同組換え頻度の高いターゲティングベクター構築法と,確実な相同組換え体の単離同定法について主に述べる.どちらも原理は単純である.ターゲティングベクターでは相同領域を長く設定する事で最大の効果が得られ,時間はかかるが構築は難くない.また相同組換え体の単離同定法では適切なプローブで明確なサザンができれば良い.しかし多くのトラブルや挫折は主にPCRやサザンスクリーニングで生じているのが現状である.これらを回避するためにPCRスクリーニングにおいては,PCR検定用ベクターにて事前に条件検討をおこなう.またサザンスクリーニングでは余剰なバンドを生じない適切なプローブを準備しておく他に,ターゲティングベクター外に設定したプローブを用いることで相同組換え体候補を選別し,その後にコピー数の検討など確定作業をおこなう.最終的には複数の相同組換え体クローンからキメラマウスを作製し,見出された表現型が標的遺伝子を破壊した結果であることを確認する.<br>

収録刊行物

  • 日本薬理学雑誌

    日本薬理学雑誌 129 (5), 330-336, 2007

    公益社団法人 日本薬理学会

参考文献 (12)*注記

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