バキュロウイルス概説 : 特集「展開するバキュロウイルス・バイオサイエンス」にあたって

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  • バキュロウイルス ガイセツ トクシュウ テンカイスル バキュロウイルス バイオサイエンス ニ アタッテ

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抄録

展開するバキュロウイルス・バイオサイエンス。バキュロウイルスは、バキュロウイルス科に属するウイルスの総称である。バキュロウイルスには、核多角体病ウイルス(NPV)と顆粒病ウイルス(GV)の2つの属のウイルスが含まれるが、バキュロウイルスについての研究は、NPVに関するものが圧倒的に多く、GVを対象としたものは多くはない。真核細胞における外来遺伝子の発現ベクターとして広く知られているバキュロウイルス発現ベクターは、NPVを素材として構築されたベクターである。NPVは害虫の微生物的防除の格好の資材として、古くから昆虫病理研究者の間で注目を浴びてきたウイルスでもある。また、養蚕関係の研究者や技術者には、カイコの重要疾病である核多角体病の病原ウイルスとして恐れられてきた。NPVに感染したカイコ幼虫は、体色の変化や環節間膜の隆起、異常徘徊行動など、きわめて特異な外部病徴を示し、終局的には破損した皮膚から、多数の多角体で白濁した体液(膿(うみ)に似ているので膿汁とよばれている)を漏出して斃死する。これにより、カイコの核多角体病は養蚕現場では膿病とよばれてきた。

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参考文献 (39)*注記

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