顆粒球除去療法(granulocytapheresis:GCAP)の併用によって妊娠継続が可能になった潰瘍性大腸炎の1例

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タイトル別名
  • Therapeutic efficacy of granulocytapheresis in a pregnant woman with severe active ulcerative colitis: a case report
  • 症例報告 顆粒球除去療法(granulocytapheresis:GCAP)の併用によって妊娠継続が可能になった潰瘍性大腸炎の1例
  • ショウレイ ホウコク カリュウキュウ ジョキョ リョウホウ granulocytapheresis GCAP ノ ヘイヨウ ニ ヨッテ ニンシン ケイゾク ガ カノウ ニ ナッタ カイヨウセイ ダイチョウエン ノ 1レイ

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抄録

潰瘍性大腸炎 (ulcerative colitis : UC) は若年女性に好発し, 患者の妊孕性は健常人と差がない. また, 妊娠によってUC自体が増悪しやすいこともあり, 患者の妊娠時の治療が問題になる. 症例は24歳時にUCを発症した35歳経産婦. 30歳時には治療薬を中断中に妊娠8週で流産しており, 32歳時にはステロイド療法を継続しながら第1子を得ている. 2006年7月, Prednisolone (PSL) 5mg/日とmesalazineの内服中であり, UCの活動性は臨床重症度分類で中等症であったが, 妊娠のため自己判断で内服を中止した. 同年9月妊娠8週0日で排便回数10回以上, 腹痛, 顕血便が増悪し入院となった. PSL20mg/日を使用し, 絶食と中心静脈栄養により腸管安静をはかったが症状は改善せず, 腹部の反跳痛も出現して開腹手術の適応が検討された. 10週2日からPSL50mg/日の静注を行い, 加えて11週1日から顆粒球除去療法 (granulocytapheresis : GCAP) を週2回計10回施行した. GCAP3回施行後から諸徴候は好転し, GCAP5回施行時 (14週1日) には, CRP0.5mg/dLと陰性化し, 解熱して緩解に至った. PSLは漸減し, 16週1日にPSL20mg/日で退院した. 退院時点で胎児の大横径・大腿骨長はいずれも16週相当であった. 治療に難渋したUC合併妊娠症例に対してGCAPを併用したところ, 速やかに緩解し妊娠継続が可能となった. UC合併妊娠では, 通常の薬物療法に加えて, 胎児への影響が問題とならないGCAPを積極的に活用するべきである.

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参考文献 (19)*注記

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