腫瘍内および被膜下出血をきたした肝外性発育型肝細胞癌の1例

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タイトル別名
  • A Case of Hepatocellular Carcinoma with Intratumoral and Intracapsulal Hemorrhage

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抄録

症例は76歳, 男性。平成18年2月突然の腹痛と嘔気を自覚し近医に入院, 腹部CT検査で肝腫瘍が疑われ, 3月当科に入院した。血液生化学検査では軽度の貧血を認めたが肝機能は正常であった。腹部USおよびCT検査では肝S4から肝外に突出する径5cm大の腫瘍と腫瘍内および被膜下出血が疑われた。腹部症状に乏しく全身状態が安定していたため, 肝予備能の評価後に待機的に手術を施行した。腫瘍は肝S4から大きく肝外性に突出し被膜下血腫を伴っていたが, 腹腔内出血, 腹膜播種はなく, 肝S4部分切除術を施行した。病理組織学的所見では, 腫瘍は被膜を有する単純結節型のHCCで内部に強い出血性壊死を伴っていた。自験例は腹腔内出血には至らず, 待機的に手術を施行し良好な結果を得た。しかし, 肝外に突出するHCCは径の大小に関わらず腹腔内出血からショックに至る可能性があり, 臨機応変な治療が必要である。

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参考文献 (14)*注記

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