全部床義歯装着者の文章発音における歯列を含むダイナミックパラトグラフィー

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  • Dynamic Palatography Including the Dental Arch in a Complete Denture Wearer during Sentence Production

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抄録

音声分析パターンと連動するダイナミックパラトグラフィーを用い, 無歯顎者1名について文章発音中の舌の調音運動パターンと子音産生のタイミングを健常有歯顎者18名から求めた標準パターンと比較検討した.口蓋および歯列の基底結節と舌側咬頭に計96個の電極を配列したダイナミックパラトグラフィーセンサーを被験者の使用中の上顎全部床義歯上に装着し, 被験音「桜の花が咲きました」を5回発音させ, 音声と同時にPalatometer (Model 6300 : KAY社) により舌接触パターンを記録した.データをComputerized Speech Lab (Model 4300B : KAY社) に転送し, 各子音について “構え”, 音発生, 舌の最大接触, 音終了の各時点を判別した.そして, 各時点で舌接触する電極の位置を記録し, 個々の電極について同一音での接触の頻度 (%) を集計した.有歯顎者の標準パターンと比較して本無歯顎被験者では, 最大接触時のセンサー数 (%) が, すべての音で大きく, 特に [ki] では, 全電極の90%以上が接触し, 最大接触から音発生時までに舌が硬口蓋の広範囲に接触する特異的なパターンを示した.しかし, その他の音では舌接触パターンは, やや幅が広いものの両者に大きな違いはみられなかった.また, [s], [∫], [t] では, 無歯顎者も有歯顎者と同様に最大接触時には, 粉末法と同様のパターンを示し, 舌運動様式や接触範囲が調音に重要な役割を果たすことが裏付けられた.

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参考文献 (38)*注記

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