Vertical observation of mountain wind that penetrates into Nagano urban area

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  • 長野市街地に流入する山風の鉛直観測

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I. はじめに</BR> 長野県長野市では晴天静穏時の夜間に山風が発生し、それが都市の中心部に流入している。本研究グループでは、山風が都市ヒートアイランド緩和に及ぼす効果についての検討を行うべく、これまで各種気象観測を実施している。本報では、特に山風の実態把握のため実施した各種鉛直観測の結果について報告する。<BR><BR>II. 観測方法等</BR>パイロットバルーン観測:</BR> 2004年4月23_から_25日早朝に、長野市街地中心部に位置する鍋屋田小学校校庭にて、高頻度のパイロットバルーン観測を実施した。タマヤ計測システム製デジタル測風経緯儀TD-3、およびトーテックス製20g気球使用。気球上昇速度150m/min。データ取得間隔10秒。<BR>ヘリコプター観測:</BR> スカイマップ社所有のヘリコプターに温湿度計とGPSセンサーを設置し、約1秒間隔で緯度・経度・標高・気温・相対湿度の測定を実施した。同時に長野市街地上空を水平スキャン飛行し、同時にデジタルビデオカメラとサーモトレーサーを用いた可視画像と熱赤外画像の撮影も行った。<BR>天候状態:</BR> 移動性高気圧前面となり明け方は晴天となった。<BR></BR>III. 山風の風向風速鉛直プロファイル (図1)</BR> 図1に、パイロットバルーン観測による山風の鉛直分布を示した。観測は、ヘリコプターが飛来する時刻の前後である明け方4時18分_から_6時12分に計6回行った。</BR> 風向風速の鉛直分布は、上空から順に以下の通りであった。地上1000_から_1200m以上では一般風と思われる西風が観測された。地上300_から_370mから1000_から_1200mに掛けては、風速3_から_6m/s程度の北東_から_東風が観測された。この風向は長野盆地の主軸方向とほぼ一致する。そして、地上300_から_370m以下では、約2m/s以下と弱いながらも、西_から_北西風が観測された。この風向は、長野市街地に流入する裾花川の谷口方向と一致することから、この風が本研究の対象とする山風と想定される。しかしながら、浜田ほか(2004)で示された長野県庁屋上で観測される山風の平均事例(3年間200事例、一晩の平均では風速約2_から_4m/s)と比較すると、風向は山風と一致するものの風速がやや小さい。このため、今回観測された山風は、典型的な事例と比較してやや弱いものであったと思われる。</BR></BR>IV. 山風の気温鉛直プロファイル (図2)</BR> 図2に、ヘリコプターによる気温の鉛直分布を示した。データは長野市街中心部の山風吹送地点(a)と山風非吹送地点(b)の上空にて行った、旋回上昇と旋回下降の際の気温の鉛直プロファイルを並べたものである。</BR> 気温の鉛直プロファイルは、山風吹送地点(a)と山風非吹送地点(b)で異なっており、地上約470m以下では山風が吹送する長野市街中心部の方が気温が低くなっている(地上高300mで1.7℃の差)。これは、相対的に低温な山風の移流がもたらしたものと推測され、都市ヒートアイランドの暑熱を山風が緩和 している可能性があると考えられる。</BR></BR>文献: 浜田 崇・一ノ瀬俊明・三上岳彦・田中博春・榊原保志(2004): 長野市街地に流入する山風の特性. 日本気象学会2004年度春季大会講演予稿集, 276.</BR></BR>謝辞: パイロットバルーン観測に際しては鍋屋田小学校に、ヘリコプター観測に際してはスカイマップ株式会社に大変お世話になりました。</BR></BR></BR>図1 パイロットバルーン観測による長野市街地中心部の風向風速の鉛直分布。2004年4月25日早朝。下向き矢印が北風を示す。</BR></BR>図2 ヘリコプター観測による長野市各所の気温の鉛直分布。2004年4月25日早朝。</BR></BR>

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