当院における原因不明の発熱で入院した慢性腎臓病患者の特徴

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タイトル別名
  • Characteristics of chronic kidney disease patients admitted to our hospital to investigate the cause of fever
  • 当院[東京女子医科大学 第4内科]における原因不明の発熱で入院した慢性腎臓病患者の特徴
  • トウイン トウキョウ ジョシイカ ダイガク ダイ4 ナイカ ニ オケル ゲンイン フメイ ノ ハツネツ デ ニュウインシタ マンセイ ジンゾウビョウ カンジャ ノ トクチョウ

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抄録

目的:血液透析患者の発熱は腎不全に伴う内部環境変化と透析療法に伴う合併症の影響により,特有な病態を呈しており,しばしば原因の同定に苦慮する場合がある.慢性腎臓病患者において透析の有無や透析歴で原因不明の発熱の原因を検討した報告は少なく,今回,慢性腎臓病患者において,血液透析の有無によって発熱の原因に違いがないか,血液透析患者の発熱に対し留意する点がないかを検討した.方法・対象:当院に原因不明の37℃以上の発熱で1998年8月から2007年7月まで入院した100例を対象とした.入院精査によって得た診断名をchronic kidney disease (CKD) stage分類に基づき分類し発熱の原因を比較した.また,血液透析患者に関しては発熱の原因と透析歴の関連について検討した.結果:CKD stage5Dの患者42例は全例血液透析患者であった.発熱の原因としては,29例が感染症で,6例が透析アミロイドーシス,2例が悪性腫瘍,1例が薬剤性,4例が不明のままであった.一方,CKD stage1~5の患者58例のうち39例が感染症,9例が膠原病,3例が悪性腫瘍,1例が薬剤性で6例が不明のままであった.発熱の原因として膠原病は血液透析患者ではそのほかのCKD stageの患者に比較し有意に低率であった(0% vs. 18.4%,p=0.0094).透析アミロイドーシスと診断した症例の透析歴は平均23.1±5.0年(16~29年)であり,ほかの原因による発熱に比較し透析歴が長期であった(p<0.0001).感染症のうち,塗抹,培養,核酸増幅法によって結核と診断した症例が血液透析患者に2例認めたのに対し,ほかのCKD stageの患者では認めなかった.結語:血液透析患者において原因不明の発熱を認めた際,まず頻度が多く,治療が遅れた場合,致命的となりうることから感染症を疑うべきである.さらに結核の可能性,また透析歴の長い場合は透析アミロイドーシスに注意が必要である.

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