胎生期から幼児期における中耳骨間隙:中耳腔と骨髄腔との交通について

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  • Marrow-Tympanum Connections in Fetuses and Infants
  • タイセイキ カラ ヨウジキ ニ オケル チュウジコツ カンゲキ チュウジコウ ト コツズイコウ トノ コウツウ ニ ツイテ

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抄録

〔目的〕乳幼児の中耳粘膜下には骨間隙が存在し, 骨髄腔が中耳腔と交通する時期があるが, この特異な形態に関する報告は極めて少ない. 今回われわれは骨間隙に関し, 中耳腔内での存在部位, 間葉組織の有無について検討したので報告する.<br>〔対象および方法〕胎生20週から3歳までの29例58耳の側頭骨病理標本を評価の対象とした. 中耳腔内を13箇所に区分し, 骨髄腔と中耳腔が交通する骨間隙を, 間葉組織を介する型 (間葉型) と, 直接交通する型 (直接型) に分別し, 炎症耳と非炎症耳で比較した.<br>〔結果〕胎生20週から1歳2カ月まで交通する骨間隙が認められた. 部位では, 鼓室洞・顔面神経窩・乳突洞領域に多く見られた. 非炎症耳では乳児期に間葉型優位から直接型優位へと移行したが, 炎症耳では間葉型優位のままであった.<br>〔結論〕骨髄腔と中耳腔との交通は, 間葉型→直接型→骨間隙閉鎖と経過することが分かった. 骨間隙が閉鎖する1歳半ば頃までは, 中耳炎が骨髄腔に波及する危険性が示された. 骨間隙の多い部位として乳突洞, 鼓室洞, 顔面神経窩があり, 乳様突起炎や顔面神経麻痺に関与する可能性も示唆された.

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