アトピー性皮膚炎の寛解維持における保湿剤の有用性の検討

• 川島 眞

  東京女子医科大学皮膚科

• 林 伸和

  東京女子医科大学皮膚科

• 乃木田 俊辰

  新宿南口皮膚科

• 柳澤 恭子

  イデリアスキンクリニック代官山

• 水野 惇子

  有楽町皮膚科

書誌事項

タイトル別名

• The Usefulness of Moisturizers for Maintenance of Remission in Atopic Dermatitis
• アトピーセイ ヒフエン ノ カンカイ イジ ニ オケル ホシツザイ ノ ユウヨウセイ ノ ケントウ

抄録

アトピー性皮膚炎（atopic dermatitis：AD）患者において，ステロイド外用剤等によりADの炎症が鎮静化した乾燥症状を主体とする部位を対象とし，保湿剤（ヘパリン類似物質含有製剤，以下HS）の有用性を，無処置を対照としたランダム化比較試験（randomized controlled trial：RCT）により検討した．炎症が鎮静化した後にHSを1日2回2週間塗布し，寛解が維持された部位を有するAD患者65名をHS継続塗布群あるいは無処置群に無作為割付けし，主要評価項目を炎症の再燃までの期間とし最大6週間観察した．また，皮膚所見（乾燥・落屑）及び痒みの程度の推移を副次的評価項目とした．その結果，6週後における炎症の再燃率はHS継続塗布群で12.5%，無処置群で39.4%であり，HS継続塗布群において有意に炎症の再燃が抑制された（χ²=6.0841，p=0.0136）．また，主要評価項目である炎症の再燃までの期間は，両群間に有意な差異が認められ（log rank検定，p=0.0117），HSの継続塗布により炎症の再燃までの期間が延長されることが明らかとなった．また，副次的評価項目についてもHS継続塗布群において，有意に症状の悪化が抑制された．以上より，保湿剤の使用はADの寛解維持に有用であることが示された．

収録刊行物

• 日本皮膚科学会雑誌

  日本皮膚科学会雑誌 117 (7), 1139-1145, 2007

  公益社団法人 日本皮膚科学会

キーワード

• atopic dermatitis
• moisturizer
• randomized controlled trial (RCT)
• heparinoid
• remission

詳細情報

• CRID: 1390001205735784192
• NII論文ID: 130004708531
• NII論文ID: 10021303898
• NII書誌ID: AN00196602
• DOI: 10.14924/dermatol.117.1139
• ISSN: 13468146
• ISSN: 0021499X
• NDL書誌ID: 8871262
• Web Site: https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R000000004-I8871262
• Web Site: https://search.jamas.or.jp/link/ui/2007304131
• 本文言語コード: ja
• データソース種別:
  • JaLC
  • NDL
  • CiNii Articles
• 抄録ライセンスフラグ: 使用不可