肺血栓塞栓症の予防処置にもかかわらず術後肺塞栓を生じた1例

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  • A CASE OF POSTOPERATIVE PULMONARY THROMBOEMBOLISM OCCURRED IN SPITE OF PREVENTIVE MEASURES

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抄録

症例は74歳,女性.BMI28.6%.主訴は心窩部痛であった.腹部エコー,CTでは腹部大動脈,下大静脈腹側に最大径9cmの腫瘤を認めた.開腹下にincisional biopsyを施行した.手術時間92分,出血量50g.病理結果では悪性リンパ腫の診断であった.術直後まで間欠的空気圧迫法(IPC)を施行した.術後1日目に立位保持し,2日目には歩行も問題なく行えた.術後4日目の離床時に呼吸困難,意識消失,血圧低下を認めた.エコー検査では右心室の拡張と両ひらめ静脈内の血栓を認め,胸部CTでは肺動脈左右分岐部に陰影欠損像を認めた.t-PA,heparinの投与を開始し,全身状態は改善し術後10日目のCTでは左肺動脈に小塞栓を認めるのみとなった.自験例は静脈血栓塞栓症予防ガイドラインでのリスクレベルは中でありIPCを施行したが,巨大な悪性腫瘍による下大静脈圧迫や血流うっ滞等の付加的危険因子を考慮した予防法をとる必要があったと考えられた.

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参考文献 (12)*注記

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