絞扼性イレウスを呈した高齢者大網裂孔ヘルニアの1例

  • 童 仁
    奈良県立奈良病院救命救急センター
  • 明石 諭
    奈良県立奈良病院救命救急センター

書誌事項

タイトル別名
  • Strangulated Obstruction of an Old Woman Caused by Trans-omental Hernia

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抄録

今回われわれは診断に腹部CTが有用であった, 高齢者の大網裂孔ヘルニア嵌頓の1例を経験したので報告する。症例は91歳, 女性。既往歴, 家族歴に特記事項はない。持続する腹痛, 嘔吐で近医受診し, 絞扼性イレウスが疑われ, 当センター搬送となった。腹部造影CTで上行結腸の腹側に小腸の拡張像, 腸間膜の収束像を認め, また腸管壁の造影遅延がみられたため, 内ヘルニア嵌頓による絞扼性イレウスと診断し, 緊急手術施行した。大網に直径約2cmの裂孔を認め, 約190cmにわたり小腸が嵌頓し壊死に陥っていた。手術既往のないイレウス症例においては内ヘルニアを考慮すべきであるが, 中でも大網裂孔ヘルニアは極めて稀であり, 術前診断が困難である。原因不明のイレウスの場合には本疾患も念頭におき, 診断治療にあたらなければならない。

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