低アルブミン血症患者を対象とした遊離型薬物濃度にもとづくTeicoplanin負荷投与量の提案

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タイトル別名
  • Effective Loading Dose of Teicoplanin for Hypoalbuminemic Patients Based on Evaluation of Serum Concentration of Unbound Drug
  • テイアルブミン ケッショウ カンジャ オ タイショウ ト シタ ユウリガタ ヤクブツ ノウド ニ モトズク Teicoplanin フカ トウヨリョウ ノ テイアン

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抄録

  抗MRSA薬であるteicoplanin(TEIC)は,本院では主に高齢者や腎機能の低下した患者に適用されているが,それらの患者は低アルブミン(Alb)血症を伴うことが多い.TEICの臨床薬物動態の特徴として,血清Albとの高いタンパク結合率(健常人では90-95%)がある.低Alb血症患者ではTEICのタンパク結合率は低下し,遊離型薬物濃度が上昇する結果,血中濃度推移のみならず抗菌活性も影響を受けると示唆されている.したがって,MRSAに感染した低Alb血症患者に対するTEICの治療効果を高めるためには,患者個々の遊離型薬物濃度を考慮した合理的な投与設計を確立する必要がある.TEICは負荷投与を必要とするため,特に,最初の3日間に実施する負荷投与量について詳細に検討した.<br>   負荷投与期間において,Alb濃度が低い患者で血清中トラフ濃度は減少した.一方,血中濃度が定常状態となった維持投与期間においては,Alb濃度が低い患者で遊離型のトラフ濃度は逆に増加した.これらのトラフ濃度について,(総濃度/Alb濃度)と遊離型濃度との間に良好な直線関係が見出されたため,患者個々のAlb濃度と総濃度の測定から遊離型濃度を精度良く推定することが可能となった.そこで,低Alb血症患者において,遊離型濃度がMRSAに対するMIC90以上となるように患者個々のAlb濃度に応じた目標トラフ濃度を設定し,さらに,負荷投与量を決定するノモグラムを確立した.今回の方法は,正常のAlb濃度の患者においても遊離型濃度をMIC90以上の濃度へ迅速に到達させることが可能であり,TEICの治療効果に有用な知見を与えるものである.<br>

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