心循環毒性

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タイトル別名
  • Cardiovascular toxicity study
  • 創薬シリーズ(3 その3)化合物を医薬品にするために必要な安全性試験(7)心循環毒性
  • ソウヤク シリーズ 3 ソノ 3 カゴウブツ オ イヤクヒン ニ スル タメニ ヒツヨウナ アンゼンセイ シケン 7 シン ジュンカン ドクセイ

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抄録

循環器に関する毒性は,生命に直接関連する重篤な副作用に結びつくことから,承認申請する医薬品の非臨床試験では,一般毒性試験による安全性評価に加えて安全性薬理試験を実施することが義務付けられている.これらの実験方法,検査項目および評価方法は適切なガイドラインあるいはガイダンスによって規定され,評価方法の科学的な妥当性については,ICHによって国際的にオーソライズされている.特に,安全性薬理試験では,心電図QT延長を伴う致死性不整脈誘発リスクについて,in vitroおよびin vivoの両手法を用いてそのQT延長ポテンシャルを検出することが求められている.In vitro試験としては,QT間隔(心室の興奮から再分極までの時間)延長の主要因である活性化の早い遅延整流性K+電流(IKr)抑制作用を検出するために,その電流が流れるK+チャネルをコードする遺伝子hERG(human-Ether-a-go-go-Related Gene)を導入した細胞を用いて,化合物のhERG K+チャネルに対する直接作用を,in vivo試験としては,テレメトリーシステムなどを用いて無麻酔・非拘束条件下の非げっ歯類の心機能に対する化合物およびその代謝物の潜在的な毒性が評価される.また,一般毒性試験の中では反復投与下における,心拍数,心電図測定に加え,心臓の病理学的評価により心機能に関する毒性評価が実施されている.本項では,循環器毒性の主体である心毒性を中心に解説を加える.まず,心臓の生理学について概説したのち,安全性薬理試験(hERG,テレメトリー試験法),一般毒性試験の中で実施される心毒性検査法(心拍数,心電図(ECG),病理組織学的検査)の概要,非臨床試験に用いられている動物種,ならびに心毒性の概略および血管毒性についても解説する.<br>

収録刊行物

  • 日本薬理学雑誌

    日本薬理学雑誌 132 (4), 221-225, 2008

    公益社団法人 日本薬理学会

参考文献 (30)*注記

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