上頸部に転移を認めた原発不明癌症例の治療成績

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  • Clinical Analysis of Cervical Lymph Node Metastasis from an Unknown Primary Carcinoma
  • ジョウ ケイブ ニ テンイ オ ミトメタ ゲンパツ フメイガン ショウレイ ノ チリョウ セイセキ

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抄録

1999年から2007年までの8年間に大阪大学医学部附属病院耳鼻咽喉科で初回治療を行った原発不明頸部転移癌の15例についての治療成績を検討した. 全症例の初診時年齢は中央値60歳 (43~77歳), 男女比は4:1, 病理組織型は扁平上皮癌が11例, 未分化癌が3例, 腺癌が1例であった. 臨床N分類別ではN2b症例が8例と最も多く, 以下N2a症例4例, N2c症例2例, N1症例1例であったが, N3症例は認めなかった. なお, 全例で上頸部 (レベルII) に転移癌を認めた. 治療方針は原則として患側の頸部郭清術と術後放射線全頸部照射とし9例に施行した. また, 治療開始時には治癒切除不能と判定したが, ドセタキセルとシスプラチンを用いた化学放射線同時併用療法の施行後に治癒切除可能となり頸部郭清術を施行し得た症例を2例認めた. 初回治療開始後に原発巣の判明したものは3例で, いずれも患側の口蓋扁桃が原発巣であった. 全症例の治療開始後の平均観察期間は3年1カ月であり, Kaplan-Meier法による5年累積粗生存率は88.9%であった. 治療後の経過観察中, 初回治療に放射線療法のみを施行した1例が原病死 (リンパ節死) したが, その他の14例は非担癌生存しており, またすべての症例において頸部リンパ節再発は認めなかった. これらの結果より, 原発不明頸部転移癌に対しては手術療法 (患側の頸部郭清術) と放射線療法の併用が有効であることが示唆された.

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