自然消退傾向を示した先天性巨大色素性母斑に続発した進行期悪性黒色腫

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of Giant Congenital Nevus and Advanced Malignant Melanoma that Showed Spontaneous Regression
  • 症例 自然消退傾向を示した先天性巨大色素性母斑に続発した進行期悪性黒色腫
  • ショウレイ シゼン ショウタイ ケイコウ オ シメシタ センテンセイ キョダイ シキソセイ ボハン ニ ゾクハツシタ シンコウキ アクセイ コクショクシュ

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抄録

66歳,女性。左鼠径部リンパ節腫脹に気づいて近医外科を受診し,リンパ節生検にて悪性黒色腫と診断され当科を紹介された。当科初診時左側腰部に原発巣と考える拇指頭大の境界明瞭な黒色結節があり,一部に自然消退傾向がみられた。病理組織学的に真皮内に多数のメラノファージがみられているにもかかわらず,消退傾向を示す部ではメラノーマ細胞が消失していた。腰部には生下時より先天性巨大色素性母斑と考えられる均一な色調の黒褐色斑がみられていたが,腰部の黒色結節を自覚した頃より消退傾向が生じた。消退した部分はごく淡い褐色斑となり,その上に生来の色調を残す粟粒大黒褐色斑が多数集簇していた。メラノーマ細胞に対する免疫応答が先天性巨大色素性母斑にも働き自然消退傾向を起こしたものと考えた。両側頚部リンパ節,傍腹部大動脈リンパ節および左鼠径部リンパ節に転移がみられ5-S-CDも著明に高値であった。原発巣の切除,両側頚部リンパ節,左鼠径部リンパ節郭清を行った後,DAC-Tam療法を施行した。3クール終了した時点で傍腹部大動脈リンパ節腫脹は画像検査上消失し,5-S-CDも正常範囲内に低下した。DAC-Tam療法終了後,月に1回IFN-β(Feron®)の維持投与を行い,15ヵ月が経過した現在も再発·転移は認めていない。

収録刊行物

  • 西日本皮膚科

    西日本皮膚科 70 (2), 159-163, 2008

    日本皮膚科学会西部支部

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (21)*注記

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