拡散MRI画像にて高信号を呈し悪性腫瘍と鑑別困難であった肝炎症性偽腫瘍の1例

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  • A CASE OF HEPATIC INFLAMMATORY PSEUDOTUMOR WHICH PRESENTED DIFFICULTY IN EXCLUDING MALIGNANCY MAINLY DUE TO HIGH INTENSITY ON DWI-MRI

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抄録

症例は75歳,女性.上腹部痛にて当科に入院した.38度を超える発熱と,採血データにて著明な炎症所見を認めた.画像検査にて,2カ月前には存在しなかった肝後区域に位置する径5cm大の腫瘤を認めた.造影CTでは腫瘤辺縁と,内部が樹枝様に造影された.MRIではT1強調で低信号,T2強調で高信号,拡散強調MRIでは著明な高信号を呈した.腫瘤の急速な増大と,発熱の持続による全身状態の悪化が懸念され,画像上も悪性疾患が疑われ,肝切除術を行った.切除標本は径5cm大の境界明瞭,辺縁不整,弾性・軟な被膜のない黄白色充実性の腫瘤であった.病理組織学的所見では病変部は線維性結合織の増生とリンパ球・形質細胞の浸潤を認め,肝炎症性偽腫瘍と診断された.拡散強調MRIにて著明な高信号を呈し,悪性腫瘍と鑑別困難であったとの肝炎症性偽腫瘍の報告例は,本症例が初めてである.

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