化合物レベル放射性炭素年代法の原理と南極縁辺海堆積物への応用

  • 大河内 直彦
    海洋研究開発機構海洋・極限環境生物圏研究領域 東京工業大学大学院総合理工学研究科化学環境学 東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学

書誌事項

タイトル別名
  • Application of compound-specific radiocarbon dating to Antarctic margin sediments
  • カゴウブツ レベル ホウシャセイ タンソ ネンダイホウ ノ ゲンリ ト ナンキョク エンペンカイ タイセキブツ エ ノ オウヨウ

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抄録

南極縁辺海の堆積物中には,南極氷床の消長の歴史が刻まれていると考えられている.しかし,通常放射性炭素年代測定に用いられる有孔虫が堆積物中に含まれないことと,その代わりに用いられる堆積物中の有機物に南極大陸起源の古い(放射性炭素を含まない)有機物が多様な割合で混入しているため,南極縁辺海の堆積物の正確な年代決定は実質上不可能であった.筆者はこの問題を解決するために,ロス海で得られた堆積物中に含まれるC14, C16, C18脂肪酸を単離・精製し,その放射性炭素年代を測定した.表層堆積物の分析結果は海洋表層のリザーバー年代とよい一致を示し,堆積物の深度方向の分析結果は生物擾乱の記録と,徐々に増加する年代を示した.この分析結果は,化合物レベル放射性炭素年代法が南極縁辺海の堆積物の正確な年代決定に利用できる可能性を示している.本稿では,化合物レベル放射性炭素を用いた堆積物の年代決定の理論的基礎について解説する.

収録刊行物

  • 第四紀研究

    第四紀研究 48 (3), 131-142, 2009

    日本第四紀学会

参考文献 (102)*注記

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