喫煙の影響は脈波伝播速度で検出可能か

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  • Is it Possible to Detect the Influence of Cigarette Smoking on Arterial Stiffness by the Measurements of Brachial-ankle Pulse Wave Velocity?
  • キツエン ノ エイキョウ ワ ミャクハ デンパ ソクド デ ケンシュツ カノウ カ

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抄録

目的:喫煙は動脈硬化の危険因子と考えられているが,今回我々は,動脈硬化の指標として広く認知されるようになってきた,上腕足首間脈波伝播速度(brachial-ankle pulse wave vebcity:baPWV)が喫煙による動脈硬化への影響を検出可能かどうかについて検討した.方法:対象は,平成15年度および16年度当院の人間ドックを受検し,baPWVを測定した2,652名. baPWVは,性別による差が認められ,喫煙は男性が圧倒的に多いため男性に限定し,さらに喫煙以外の動脈硬化の危険因子の重積がbaPWVに影響することは以前に報告した通りであるので,喫煙以外の動脈硬化危険因子を持たない男性のみを対象者として喫煙の影響を検討した.結果:対象者は危険因子が喫煙のみの252名と喫煙も含めて危険因子を持たない266名であったが,baPWVは両群間で全く差が認められなかった.ただし,HDLとHbA1cには差が認められ,喫煙者群において, HDLは有意に低値で,HbA1cは有意に高値だった.また,喫煙本数と年数を乗じた喫煙指数が1,000以上の長年のヘビースモーカー46名のみを抽出して喫煙歴のない群と比較すると有意に高値となった.結論:これらの結果より,喫煙は糖・脂質代謝への影響を介して動脈硬化に関与している可能性があるが,大曲管の動脈壁硬化を反映するbaPWVでは検出は難しいことが確認された.ただし,喫煙指数が1,000を超えるような長年にわたるヘビースモーカーになると,baPWVにも検出可能な変化が現れる可能性も示唆された.

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