魚粉利用による泌乳牛の窒素排せつ量低減

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タイトル別名
  • Use of Supplemental Fish Meal to Reduce Nitrogen Excretion in Lactating Dairy Cows
  • 魚粉利用による泌乳牛の窒素排泄量低減
  • ギョフン リヨウ ニ ヨル ヒニュウギュウ ノ チッソ ハイセツリョウ テイゲン

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抄録

牧草サイレージ主体飼養で魚粉を利用して,乳生産を低下させずにどの程度窒素排泄量を低減できるか検討した.供試牛は泌乳中期の2産以上の乳牛6頭を用い,3×3ラテン方格法で窒素出納試験を実施した.供試飼料は混合飼料とし,牧草サイレージ,加熱圧ぺんとうもろこし,大豆粕および魚粉の乾物比率は,13%CP区で55 : 39 : 4 : 2,15%CP区で55 : 34.6 : 8.4 : 2,17CP%区で55 : 30 : 17 : 0とした.全飼料中の実測CP含量は各々13.2,15.1,16.7%であったが,TDN含量はいずれも76%であった.試験は1期18日間とし,糞尿は各期の最後の4日間全量採取し,採血は各期の最終日に行った.乾物摂取量,乳量,乳タンパク質量および乳脂肪量は処理間に差がなかった.窒素排泄量では,糞窒素量は処理間に差がなかったが,尿窒素量は17%CP区が125g/日,15%CP区が98g/日,13%CP区が69g/日と,飼料中CP含量の低下とともに著しい減少がみられた(いずれもP<0.05).乳中尿素窒素(MUN)濃度は17%CP区が14.3mg/dl,15%CP区が10.6mg/dl,13%CP区が7.3mg/dlと,飼料中のCP含量とともに低くなり(いずれもP<0.01),血清尿素窒素(SUN)濃度とも高い相関がみられた.また,MUN濃度およびSUN濃度は,尿窒素量とも相関が高く,尿窒素量低減の指標として有用と考えられた.血清遊離メチオニンおよびリジン濃度は,魚粉を添加した13%CP区および15%CP区が,動脈血および動静脈差ともにやや高い傾向にあった.これらから,魚粉添加により乳合成の制限アミノ酸となるメチオニンおよびリジンが補給され,飼料中CP含量を低く設定しても,乳生産を低下させずに,尿窒素量を低減できることが示唆された.

収録刊行物

  • 日本畜産学会報

    日本畜産学会報 74 (4), 509-515, 2003

    公益社団法人 日本畜産学会

参考文献 (26)*注記

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