初乳形成に向けた乾乳期乳腺免疫機構の変動とラクトフェリンの関与

書誌事項

タイトル別名
  • Immunological Changes in Colostrogenesis in Bovine Mammary Gland During Dry Period and the Function of Lactoferrin (Lf)
  • ショニュウ ケイセイ ニ ムケタカンニュウキ ニュウセン メンエキ キコウ ノ ヘンドウ ト ラクトフェリン ノ カンヨ

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抄録

乳用牛の乳汁成分は乾乳導入後,大きく変動する.乳汁タンパク質では,ラクトフェリン(Lf)が乾乳7日目にピーク値を示した.乳汁中体細胞数(SCC)は,乾乳15日目に400万/ml以上の値を示し,その多くは,CD11b細胞であった.すなわち,Lfが乳腺上皮細胞のアポトーシスを誘導し,その結果生じる乳腺の老廃組織が,増加した白血球により迅速に処理されていることが推察された.一方,CD4/CD8T比は乾乳導入直後から高値となり,そのピーク時期は,B-B2リンパ球数と同様,分娩20日前であった.また,移行抗体の主体となるIgG1は,分娩直前に最大値を示した.さらに,in vitroにおいて,ウシ末梢血単核球を用いたLfでの刺激培養によりCD4/CD8T比が高まった.このことから,Lfが乾乳期CD4Tリンパ球を誘導する可能性,すなわち泌乳期乳腺退縮後の乾乳期乳腺は,多くの報告にあるホルモンの他に,Lfの作用により急速に移行抗体産生器官に移行することが示唆された.

収録刊行物

  • 日本畜産学会報

    日本畜産学会報 75 (2), 205-212, 2004

    公益社団法人 日本畜産学会

参考文献 (49)*注記

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