口腔顎顔面領域手術摘出組織のマイクロフォーカスX線CT画像と病理組織学的所見についての検討

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タイトル別名
  • Comparison of Microfocus X-ray CT Images and Histopathological Findings of Oral Surgical Specimens
  • コウクウ ガク ガンメン リョウイキ シュジュツ テキシュツ ソシキ ノ マイクロフォーカス Xセン CT ガゾウ ト ビョウリ ソシキガクテキ ショケン ニ ツイテ ノ ケントウ

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抄録

口腔顎顔面領域の腫瘍には歯原性腫瘍や非歯原性腫瘍があり、また、これらと鑑別を要する疾患にもしばしば遭遇する。これらの手術摘出組織(以下、手術検体と略する)の病理組織学的診断を行う際には、腫瘍の進展範囲、切除断端の腫瘍存在の有無などの正確な評価や類似疾患との鑑別が必要である。そのためには適切な位置で切り出すことが重要である。そこで、2008年4月以降に手術検体のマイクロフォーカスX線CT(以下、マイクロCTと略する)を撮影し、その画像に基づき切り出し、病理組織学的診断を行った症例についてマイクロCT画像と病理組織学的所見を比較し、検討を行った。対象症例は21例。病理組織型別では、扁平上皮癌16例(下顎歯肉9例、上顎歯肉4例、頬粘膜2例、下顎骨内1例)、粘表皮癌1例、エナメル上皮腫1例、歯牙腫1例、智歯の異所性萌出1例および神経鞘腫1例である。腫瘍に対する下顎骨や上顎骨の切除症例18例におけるマイクロCT画像による骨吸収の有無と病理組織学的な骨浸潤の有無は全て一致し、マイクロCT画像による圧迫型の骨吸収所見を示した7例では病理組織学的に6例が圧排型、1例が浸潤型の骨浸潤を呈し、浸潤型、虫喰い型の骨吸収所見を示した7例は病理組織学的に全て浸潤型の骨浸潤を呈し、マイクロCT画像による骨吸収の様式の所見と病理組織学的な骨浸潤の様式の所見はほぼ一致した。下顎管や上顎洞への腫瘍浸潤について比較したところ、下顎管浸潤の有無は一致し、上顎洞浸潤の有無についても1例を除き一致した。歯牙腫症例と神経鞘腫症例では手術検体は線維性被膜を有していたため、また、上顎智歯の異所性萌出症例では、手術検体が骨様硬組織であったため、いずれも内部の把握が困難であったが、マイクロCT画像所見で内部の性状を確認できたことで適切な位置で切り出すことが可能であった。以上より、口腔腫瘍の浸潤・進展範囲を含めた疾患の最終診断は病理組織学的所見によるが、そのためには手術検体の適切な位置での切り出しが重要で、マイクロCT画像の応用が有用と考えられた。

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