石綿曝露の病理学的評価

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タイトル別名
  • Pathological Evaluation of Exposure to Asbestos

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抄録

目的.乾燥肺1 gあたり1,000本以上の石綿小体濃度がある場合は石綿に曝露されている.5,000∼15,000本の石綿小体が存在する場合は,肺癌が発生する危険率を2倍に上昇させる.組織切片の鉄染色による石綿小体の数と,石綿小体濃度の関係を比較し,切片上の石綿小体の数で石綿の曝露が評価できるか検討した.方法.手術あるいは病理解剖により肺組織を摘出した,石綿曝露を受けた可能性のある肺癌および特発性間質性肺炎,中皮腫,石綿肺の各症例を,鉄染色によるスライドガラス1枚あたりの石綿小体の数を測定した.また,肺組織を次亜塩素酸ソーダで溶解し,濾過した標本を位相差顕微鏡で観察し,乾燥肺1 gあたりの石綿小体濃度を測定した.結果.溶解法による石綿小体濃度と,切片中の石綿小体の数には相関がある.7本以上の石綿小体を認める場合は,高度の石綿曝露を受けている.結論.切片に1本の石綿小体を認めれば,一般の人よりも高濃度の石綿曝露を受けている.7本以上認めれば,高度の石綿曝露を受けている.しかし,切片に石綿小体を認めなくとも石綿曝露を受けていることがあり,切片での石綿小体の有無の評価には注意が必要である.<br>

収録刊行物

  • 肺癌

    肺癌 49 (1), 48-57, 2009

    特定非営利活動法人 日本肺癌学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (23)*注記

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