中咽頭癌切除再建術後の機能代償に関する研究

  • 千年 俊一
    久留米大学医学部耳鼻咽喉科・頭頸部外科学講座
  • 濱川 幸世
    久留米大学医学部耳鼻咽喉科・頭頸部外科学講座
  • 前田 明輝
    久留米大学医学部耳鼻咽喉科・頭頸部外科学講座
  • 梅野 博仁
    久留米大学医学部耳鼻咽喉科・頭頸部外科学講座
  • 中島 格
    久留米大学医学部耳鼻咽喉科・頭頸部外科学講座

書誌事項

タイトル別名
  • Analysis of Compensatory Function after Wide Resection and Reconstruction in Oropharyngeal Cancer
  • チュウイントウ ガン セツジョ サイケン ジュツゴ ノ キノウ ダイショウ ニ カンスル ケンキュウ

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抄録

中咽頭癌に対し切除再建術を行った場合,切除後に残る組織が術後嚥下障害に対してどの程度代償的に機能するかを予測することが重要である。中咽頭癌切除再建術症例の咽頭後壁運動をもとに残存組織の機能代償について検証した。対象は,根治治療を行った照射歴のない中咽頭癌再建術症例のうち,喉頭温存した52例である。嚥下造影検査の側面像で,安静時と嚥下時の各静止画から嚥下時の後壁運動率を算出し正常例と比較した。さらに,年齢別,再建法別および鼻咽腔閉鎖機能別に比較した。その結果,対象の後壁運動率は正常に比べ術後3カ月以降で高値を示した。60歳未満は60歳以上に比べ術後3カ月以降で後壁運動率が高くなる傾向にあった。PMMC症例ではfree RAM症例に比べ術後3カ月および術後6カ月に後壁運動率が有意に高値を示した。さらに,鼻咽腔閉鎖機能良好例では鼻咽腔閉鎖機能不良例と比べて術後3カ月と6カ月に後壁運動率が有意に高値を示した。結論として,残存組織は切除後の容量不足を補う形で機能代償すると推察された。特に,嚥下圧を高めやすい環境下では大きな機能代償が期待できる。また,この機能代償は術後3カ月過ぎに顕著になる傾向があった。

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参考文献 (16)*注記

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