奥日光の森林衰退地域の樹木生葉と土壌の養分特性

書誌事項

タイトル別名
  • Nutritional Properties of Trees and Soils in Oku-Nikko Region, central Japan
  • 奥日光の森林衰退地域の樹木生葉と土壌の養分特性--他の亜高山地域との比較から
  • オクニッコウ ノ シンリン スイタイ チイキ ノ ジュモク セイヨウ ト ドジョウ ノ ヨウブン トクセイ タ ノ アコウザン チイキ ト ノ ヒカク カラ
  • -他の亜高山地域との比較から-
  • -Comparisons with the other subalpine regions-

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抄録

森林衰退が報告されている奥日光地域で樹木と土壌の養分状態を調査した。その結果,奥日光地域の衰退樹種であるコメツガ生葉のマグネシウム(Mg)含量は平均±標準偏差が0.60±0.13 mg g-1と国内の他の亜高山地域の0.88±0.12 mg g-1に比べ低く,Mg/Ca比(モル比,Caはカルシウム)も奥日光では0.39±0.10と他の亜高山地域の0.72±0.19に比べ低いことが明らかになった。また奥日光の土壌の交換性Mg含量,および交換性Mg/Ca比は,他の亜高山地域の既報値と比較して低かった。この比は表層から下層まで一様に低いため地質に由来する特性であると考えられ,コメツガ葉のMg/Ca比が低い現象は,土壌の低Mg/Ca比を反映していると推察された。また奥日光の表層土壌は,既報の林野土壌調査による亜高山地域の表層土壌群と比較して,とくに酸性化が進んでいるとはいえなかった。従って,奥日光における森林衰退を大気汚染物質の流入にともなう土壌の酸性化が原因とは考え難かった。しかし,土壌条件によるコメツガ生葉のMg不足は,各種環境ストレスへの耐性低下につながる可能性が考えられた。

収録刊行物

  • 環境科学会誌

    環境科学会誌 22 (6), 401-414, 2009

    社団法人 環境科学会

参考文献 (62)*注記

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