抗菌剤不使用のデスクマットによる接触皮膚炎の1例

  • 指宿 敦子
    鹿児島大学大学院医歯学総合研究科皮膚科学分野
  • 内宮 礼嗣
    鹿児島大学大学院医歯学総合研究科皮膚科学分野
  • 松下 茂人
    鹿児島大学大学院医歯学総合研究科皮膚科学分野
  • 河井 一浩
    鹿児島大学大学院医歯学総合研究科皮膚科学分野
  • 金蔵 拓郎
    鹿児島大学大学院医歯学総合研究科皮膚科学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Contact Dermatitis to a Desk Mat without an Antimicrobial Coating
  • 症例 抗菌剤不使用のデスクマットによる接触皮膚炎の1例
  • ショウレイ コウキンザイ フシヨウ ノ デスクマット ニ ヨル セッショク ヒフエン ノ 1レイ

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抄録

48歳,女性。8年前から両前腕を中心に環状の浮腫性紅斑が多発していた。毎年6月下旬に赤くなり,11月頃に改善することを繰り返していた。半袖になる時期に皮疹の悪化が両前腕に著しかったこと,事務職でデスクマットを使用していることより,デスクマットによる接触皮膚炎を疑い,デスクマットのパッチテストを施行したところ,強陽性反応を認めた。デスクマットの成分は塩化ビニル樹脂,フタル酸ジ-2-エチルヘキシル(DEHP,可塑剤),エポキシ化亜麻仁油(安定剤),金属石けん系安定剤,N,N'-メチレンビスステアロアミド(転写防止剤)の5種類で,このうち製造中止のため入手できなかった金属石けん系安定剤を除く4種類について,パッチテストを施行したが結果は全て陰性であった。以上の結果より,デスクマットの成分のうち,金属石けん系安定剤による接触皮膚炎が推測され,デスクマット製造会社より同じ金属塩を含むが構造式の異なる金属石けん系安定剤を入手し,パッチテストを行ったところ陽性であった。近年デスクマットに含まれる抗菌剤による接触皮膚炎が多数報告されているが,自験例が使用していたデスクマットは抗菌剤は含有されていなかった。抗菌剤を含まないデスクマットによる接触皮膚炎はこれまでに報告されていない。おいて発表した。

収録刊行物

  • 西日本皮膚科

    西日本皮膚科 72 (1), 3-5, 2010

    日本皮膚科学会西部支部

参考文献 (8)*注記

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