典型的なCT所見を呈し術前診断が可能であった左傍十二指腸ヘルニア嵌頓の1例

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  • Incarcerated Paraduodenal Hernia Diagnosed Preoperatively: A Case Report

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抄録

症例は20歳代男性。手術歴や特記すべき既往はなかった。1週間前から続く上腹部痛に対し他院で投薬を受けていたが,急激な上腹部痛と数回の嘔吐が出現し当院救急部に搬送された。来院時,上腹部に軽度の圧痛を認めるものの腹膜刺激症状はなく,腹部単純X線写真では少量の小腸ガスを認めるのみであった。CTでTreitz靭帯近傍から左前腎傍腔へ脱出する拡張腸管を有する嚢状構造を認め,上部透視検査では水平脚より肛門側に造影剤の流出を認めなかった。以上より左傍十二指腸ヘルニア嵌頓と診断し緊急開腹術を行った。傍十二指腸ヘルニアは,Treitz靱帯周囲の腹膜窩に腸管が陥入し生じる内ヘルニアの一種であり,今回術前CTで認められた嚢状構造に覆われた拡張腸管ループ像は典型的な所見であったと考えられた。以上,術前診断が可能であった左傍十二指腸ヘルニア嵌頓の1例を経験したので若干の文献的考察を加え報告した。

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参考文献 (17)*注記

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