大学病院歯科医療センターにおける摂食・嚥下リハビリテーションの現状とその効果

  • 古屋 純一
    岩手医科大学歯学部歯科補綴学第一講座 岩手医科大学附属病院歯科医療センター口腔リハビリ外来
  • 織田 展輔
    岩手医科大学歯学部歯科補綴学第一講座 岩手医科大学附属病院歯科医療センター口腔リハビリ外来
  • 長谷 理恵
    岩手医科大学歯学部歯科補綴学第一講座 岩手医科大学附属病院歯科医療センター口腔リハビリ外来
  • 阿部 里紗子
    岩手医科大学歯学部歯科補綴学第一講座 岩手医科大学附属病院歯科医療センター口腔リハビリ外来
  • 鈴木 哲也
    岩手医科大学歯学部歯科補綴学第一講座

書誌事項

タイトル別名
  • The Effects of Dysphagia Rehabilitation in the University Hospital Dental Center

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抄録

岩手医科大学附属病院歯科医療センターにおける1年6カ月の摂食・嚥下リハビリテーションの現状とその効果を明らかにするために, 口腔リハビリ外来を受診した患者104名 (男性64名, 女性40名) について臨床統計学的分析を行い, また, 介入による摂食・嚥下障害臨床的重症度 (DSS) と栄養摂取法の変化を検討した。患者の多くは, 頭頸部腫瘍, 脳血管障害を原疾患とする高齢者であり, 口腔期と咽頭期の障害が多く観察された。約70%の患者で摂食機能療法と専門的口腔ケアが必要で, 補綴歯科処置が必要な患者は約30%存在した。DSSのレベルは, 介入によって有意に改善し (p<0.001) , 特に食物誤嚥, 水分誤嚥, 口腔問題レベルで良好であった。唾液誤嚥から機会誤嚥のレベルが71%存在したが, 介入後は45%に減少した。栄養摂取法は, 初診時においては, 経管栄養のみで絶食が42%であったが, 介入後は21%に減少した。初診時のDSSと栄養摂取法の相関係数は0.52で, 摂食・嚥下機能と栄養摂取法の乖離が生じていたが, 介入後の相関係数は0.76と強い相関がみられ, 乖離が改善されたと考えられた (p<0.001) 。DSS改善の有無を従属変数としたロジスティック回帰分析の結果では, 直接訓練の実施がレベル改善に寄与していた (p<0.01) 。以上より, 当院における摂食・嚥下リハビリテーションの有効性が示唆された。

収録刊行物

  • 老年歯科医学

    老年歯科医学 24 (1), 37-47, 2009

    一般社団法人 日本老年歯科医学会

被引用文献 (3)*注記

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参考文献 (30)*注記

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