都市における小河川の環境改善に伴う水生生物の変化

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タイトル別名
  • Aquatic Community Changes Occurring with Stream Habitat Improvement in Urban Areas
  • トシ ニ オケル ショウカセン ノ カンキョウ カイゼン ニ トモナウ スイセイ セイブツ ノ ヘンカ

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抄録

横浜市内を流れる小河川の阿久和川を対象に、近年における水環境と生物生息の変化、生物分布と環境との関係を明らかにするため、1996年と2008年に上流から下流の地点で調査を行った。阿久和川の河川水量は減少している傾向がみられた。1996年における水質は、それ以前に比べて回復し、BOD濃度は5mg/l前後であった。2008年には水質の回復がさらに進んでBOD濃度は2mg/l以下となった。魚類は1996年の2~13種類から2008年には7~14種に増加し、上流と中流における増加が顕著であった。過去にはドジョウ、フナ属、モツゴが多かったが、オイカワ、アブラハヤ、メダカが多く出現するようになった。魚類相の変化や分布状況に、水質だけでなく、河川形態、河床材料、横断構造物が関係していることが示された。底生動物の種類数は各地点で2.5倍以上増加し、40種類以上が確認されるようになった。1996年にはミズミミズ科が多く出現したのに対して、2008年には外来種のフロリダマミズヨコエビが目立つようになった。このような底生動物の変化に、水質の回復、河川改修に伴う河床材料の変化、水温上昇が影響を及ぼしていることが示唆された。付着珪藻類の種類数も各地点で2倍以上増加し、52~58種類が確認された。クサビケイソウGomphonema parvulumとハリケイソウNitzschia paleaが1996年に多かったが、2008年にはフネケイソウNavicula gregariaが多くなり、群集構造に水質回復を反映した変化と共に、季節的な特徴が現れるようになった。

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参考文献 (48)*注記

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