アルコール性慢性膵炎を背景に生じたと考えられた特発性脾破裂の1例

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タイトル別名
  • A CASE OF SPONTANEOUS SPLENIC RUPTURE WHICH MIGHT OCCUR DUE TO CHRONIC ALCOHOLIC PANCREATITIS IN THE BACKGROUND

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抄録

症例は慢性膵炎と糖尿病を既往に持つ48歳男性.平成21年7月下旬に目眩と腹痛を主訴に近医を受診し,CTで大量の血性腹水の貯留と脾破裂の所見が認められたため,脾破裂による腹腔内出血と診断された.当科に入院後,緊急開腹手術が行われた.開腹時,腹腔内に多量の血性腹水と凝血塊が認められた.膵は肉眼的に慢性膵炎の状態であり,外傷の既往がなかったことからも慢性膵炎が急性増悪し脾臓への炎症の波及により生じた脾破裂と診断され,膵体尾部切除が施行された.病理組織学的にはBerlin blue染色において静脈の壁外にヘモジデリン沈着が認められたことから陳旧性の出血が示唆された.術後経過は良好で術後12日目に紹介医へ転院となった.脾破裂は外傷性と特発性(非外傷性)に大別され,後者は比較的まれである.今回われわれは脾摘術により救命しえた特発性脾破裂の症例を経験したので報告する.

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