タバコの誤飲事故に関する発生の実態と保護者の意識

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タイトル別名
  • Accidental ingestion of tobacco products by children and awareness by guardians of the hazard potential
  • タバコ ノ ゴイン ジコ ニ カンスル ハッセイ ノ ジッタイ ト ホゴシャ ノ イシキ

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抄録

目的 保育所および幼稚園児の保護者を対象としたアンケート調査により,タバコの誤飲事故の実態を把握し,保護者の喫煙に対する意識と行動に起因した誤飲事故発生の要因について考察した。<br/>方法 2006年 6 月~10月にかけて,広島県東部にある A 市および B 市の保育所および幼稚園の保護者を対象として,無記名による自記式調査を実施し,保護者417人から有効回答を得た(回収率80.5%)。子どもの総数は796人(男子429人,女子366人,性別不明 1 人)で,6 歳未満の未就学児童数は575人(男子312人,女子263人)であり,全体の72.2%を占めた。<br/>結果 調査対象の喫煙率は,父親は54.4%,母親は12.2%であり,同居している祖父母等による喫煙を含めると喫煙者がいる家庭は64.3%であった。喫煙家庭の15.7%で,タバコの誤飲事故が実際に発生しており,未遂を含めると28.7%に達した。誤飲事故を起こす年齢は 1 歳児までが78.8%を占めた。灰皿やタバコの置き場所に関して,喫煙家庭の36.2%は子どもの手の届く所におくことがあり,7.5%は置き場所を気にしたことがないと回答した。提示されたタバコ誤飲事故の発生状況の中で,タバコの葉や吸殻に比べタバコの浸出液の誤飲が危険であると回答した保護者は半数しかいなかった。子どもの成長や健康への受動喫煙の影響は喫煙家庭の保護者においても多くが認識しており,84.0%が子どもの前で喫煙すべきでないと回答した。しかし,日常生活の中で実際に子どもの前で吸わないようにしていると回答した保護者は25.0%にとどまった。<br/>結論 調査対象の未就学児の家庭の64.3%が喫煙家庭であり,その15.7%でタバコの誤飲事故が実際に発生していた。諸外国に比べてタバコ誤飲事故が多発する要因として,①タバコや灰皿の管理が喫煙家庭で適切に行われていない,さらに②受動喫煙による子どもの成長や健康への認識はあるものの,認識と実際の行動との間にずれがあり,子どもの前で喫煙が行われている,等が挙げられる。

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参考文献 (21)*注記

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