高知市における救急搬送活動記録を用いた転倒・転落の実態調査

  • 吉本 好延
    厚生年金高知リハビリテーション病院 高知女子大学大学院健康生活科学研究科博士後期課程
  • 佐野 尚美
    高知女子大学生活科学部健康栄養学科
  • 三木 章江
    高知女子大学生活科学部健康栄養学科
  • 浜岡 克伺
    厚生年金高知リハビリテーション病院 高知女子大学大学院人間生活学研究科修士課程
  • 佐藤 厚
    高知女子大学生活科学部健康栄養学科

書誌事項

タイトル別名
  • An analysis of fall accidents using Kochi Fire Department ambulance statistics
  • コウチシ ニ オケル キュウキュウ ハンソウ カツドウ キロク オ モチイタ テントウ テンラク ノ ジッタイ チョウサ

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抄録

目的 本研究では,高知市の救急搬送活動記録を用いて,成人と高齢者における転倒・転落の実態調査を行い,性別・年代別に転倒・転落の発生時期および発生場所の検討を行うことを目的とした。<br/>方法 対象は,平成17年 1 月から平成17年12月までに,高知市消防局の救急隊により搬送が行われた転倒・転落延べ967件とした。調査項目は,受傷者の性別,年代,転倒・転落の発生時期,発生場所の計 4 項目とした。年代は,成人(満18歳から満65歳未満)と,高齢者(満65歳以上)に分類された項目を抽出した。<br/>結果 性別・年代別の人口1,000人当たりの転倒・転落搬送件数は,成人において1.32件(男性1.55件,女性1.11件),高齢者において10.48件(男性9.14件,女性11.32件)であった。性別・年代別にみた屋外での転倒・転落搬送の割合は,高い順に女性成人(60.8%),男性成人(56.8%),男性高齢者(54.9%),女性高齢者(36.6%)であり,女性高齢者を除いた全ての年代で,屋外での転倒・転落搬送の割合が屋内での転倒・転落の割合を上回っていた。性別・年代別・季節別の転倒・転落搬送の割合は,いずれの性別・年代においても,冬季(12-2 月)の転倒・転落搬送の割合が最も高率であり,月別では,12月の転倒・転落搬送の割合が最も高率を認めた。<br/>結論 転倒・転落状況は,対象者の性別や年代,季節によって大きく異なっており,受傷者の身体活動量や気候および季節行事の違いによって,転倒・転落の原因や発生場所に相違を認めると考えられた。消防局の救急搬送活動記録を活用することで,地域間での転倒・転落状況の比較が可能となり,季節や地域性を考慮した転倒・転落予防対策の提案に向けた新しいアプローチになることが期待される。

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参考文献 (17)*注記

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