保健師教育機関卒業時における技術項目と到達度

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タイトル別名
  • A framework for assessing essential public health nursing skills and achievement levels required for students graduating from schools that provide education for obtaining a license as a public health nurse in Japan
  • ホケンシ キョウイク キカン ソツギョウジ ニ オケル ギジュツ コウモク ト トウタツド

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抄録

目的 本研究は,保健師教育機関卒業時における技術項目と到達度について,実践現場で働く保健師と教育機関の教育者双方の合意に基づいて作成することを目的とした。<br/>方法 行政機関と事業所に所属する保健師197人,教育機関(大学,短大,専門学校)の教育者146人を対象として作成した技術項目の枠組みを用いてデルファイ法にて 2 回の質問紙調査を実施した。<br/>結果 ①技術項目は大•中•小項目で構成した。大項目は保健医療における公正の考え方に基づいて,A. 地域の健康課題を明らかにする(地域アセスメント,assessment),B. 地域の人々と協働して特定の健康課題を解決•改善し健康増進能力を高める(健康課題への対応,action),C. 地域の人々の健康を保障するために生活と健康に関する社会資源の公平な利用と分配を促進する(社会資源の保障,assurance)の 3 つを設定した。小項目の到達度は「Iひとりで実施できる」,「II指導のもとで実施できる」,「III学内演習で実施できる」,「IV知識としてわかる」の 4 段階とした。大項目 A と B については「個人/家族」と「集団/地域」を対象とした場合の 2 つの到達度を設定した。すべての小項目について,②第 1 回調査では回答者の70%以上が「非常に重要」,「重要」,「普通」と回答し,第 2 回調査では,回答者の90%以上が大•中項目と「適合している」と回答した。③第 2 回調査において,設定した到達度の段階に同意した割合が保健師,教育者共に採択基準である70%を超えたのは,全到達度93のうち71(76.3%)であった。それ以外については小項目の表現と到達度を検討し,最終的な技術項目は大項目 3,中項目 8,小項目59,到達度95となった。④最終的な技術項目と到達度では,大項目 A と B の「個人/家族」を対象とした場合の到達度は「I」の段階の設定が多いが,「集団/地域」を対象とした場合は「II」や「III」の設定が多かった。一方,大項目 C の到達度21のうち14(66.7%)は到達度「IV」の段階であった。⑤教育者の方が保健師に比べて到達度を高く設定し,より高度な技術を求める傾向がみられた。<br/>結論 本研究によって,保健師と教育者が合意した保健師教育機関卒業時における技術項目と到達度が明らかとなり,保健師教育並びに現任教育に適用できる可能性が考えられた。また,本研究で明らかとなった技術項目について,設定された到達度を満たす学生を育成するための教育体制並びにカリキュラムの検討が必要であると考えられた。

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