遠隔型口腔機能向上プログラムの効果の検討

  • 関口 晴子
    地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター東京都老人総合研究所
  • 大渕 修一
    地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター東京都老人総合研究所
  • 小島 成実
    地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター東京都老人総合研究所
  • 新井 武志
    地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター東京都老人総合研究所 目白大学保健医療学部理学療法学科
  • 平野 浩彦
    地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター東京都老人総合研究所
  • 小島 基永
    地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター東京都老人総合研究所

書誌事項

タイトル別名
  • Effect of an oral function improvement program based on remote intervention
  • エンカクガタ コウクウ キノウ コウジョウ プログラム ノ コウカ ノ ケントウ

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抄録

目的:口腔機能向上プログラムは,主に通所で歯科衛生士などが中心となって実施しているが,専門職を配置できない場合には実施することが難しいことが指摘されている.それに対しては,専門職によるインターネットなどを利用した遠隔介入が考えられるが,高齢者には難しいことが考えられる.そこで本研究では,対象者と歯科衛生士の媒介となるコーディネータを配置して遠隔的に実施した口腔機能向上プログラムの効果を検討した.方法:東京都島嶼部在住65歳以上の高齢者で参加希望の55名を対象とした.歯科衛生士が事前にコーディネータの教育を行い,参加者の事前事後に咀嚼機能,嚥下機能,口腔機能関連QOLの評価を行った.プログラムは教材を基に参加者が自宅で毎日行うこととし,実施に必要な知識の提供,動機づけを目的に,週1回,2カ月間教室を開催した.その際,参加者の実施状況,質問をコーディネータを通じてファクシミリにて歯科衛生士に送付し,歯科衛生士はプログラムを継続していくための専門的助言をファクシミリにてコーディネータに返送した.結果:嚥下機能のRepetitive saliva swallowing test(RSST)積算時間3回目で事前が35.1秒,事後が27.6秒と有意に早くなった.構音機能のOral Diadochokinesis(ODK)は事前が「パ」4.2回,事後が4.6回,「タ」は事前が4.2回,事後が4.6回,「カ」は事前が4.1回,事後が4.5回と,有意に増加した.咀嚼能力判定ガムは有意な差を認めた.口腔関連QOLのGeneral oral health assessment index(GOHAI)も事前は53.0点,事後は54.7点と有意に増加した.口腔衛生についても同様に改善を認めた.結論:嚥下機能,構音機能,咀嚼機能,口腔衛生,口腔関連QOLとすべての領域で改善がみられ,歯科衛生士がコーディネータを介して遠隔的に関わり,口腔機能向上サービスを提供する遠隔型プログラムは高齢者の口腔機能を向上するために有効であることが示唆された.<br>

収録刊行物

参考文献 (34)*注記

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