呼吸器感染症患者分離菌の薬剤感受性について (1988年)

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  • SUSCEPTIBILITIES OFBACTERIA ISOLATED FROM PATIENTS WITH RESPIRATORY INFECTIOUS DISEASES TO ANTIBIOTICS (1988)

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抄録

我々は1981年以来全国各地の病院・研究施設と共同で呼吸器感染症分離菌を収集し, 分離菌の各種抗菌・抗生剤に対する感受性, 患者背景と分離菌などを経年的に調査してきた1~7)。今回は, 1988年度の調査結果を報告する。<BR>1988年10月~1989年9月の間に全国18施設において, 呼吸器感染症患者439例の主として喀出喀痰から分離され, 起炎菌と推定された細菌は554株であった。このうち, staphylococcus aureus 68株, strgppococcus pneumoniae 102株, Haemophilus influenzae 120株, Pseudomonas aeruginosa 86株, Branhamella catarrhalis 65株, Klebstella pneumoniae 18株などに対する各種抗菌・抗生剤のMICを測定し, 薬剤感受性を調査した。<BR>主要菌株の抗菌・抗生剤に対する感受性は, 各薬剤とも前年とほぼ同様の成績を示した。但し, S. aureusではMethici11inのMICが12.5μg/ml以上の株 (Methicillin-resistant S. aureus) が38.2%を占め, 前年の18.2%に比べ耐性菌の発現頻度が大きく上昇した。<BR>又, 患者背景と感染症と起炎菌の推移等についても検討した。<BR>患者背景については, 年齢別の分布では高年齢層の感染症が多く, 60歳以上が57.2%を占めた。疾患別の頻度では, 細菌性肺炎, 慢性気管支炎がそれぞれ32.1%, 31.4%と多く, 以下気管支拡張症, 気管支喘息の順であった。<BR>疾患別の起炎菌の頻度についてみると, 細菌性肺炎ではS. aureus22.5%, S. pneumoniae 15.4%, 慢性気管支炎ではS. pneumoniae25.7%, H. influenzae24.1%, 気管支拡張症ではH. influenzae32.5%, P. aeruginosa23.8%, 気管支喘息ではH. influenzae31.4%, S. pneumoniae, B. catarrhalis20.0%が上位を占めた。<BR>抗生剤の投与の有無日数ごとにみた分離菌についてみると, 投与前に分離され投与後減少した菌はS. pneumoniae, H. influenzae, B. caparrhalisである。一方, S. aureus, P. aeruginosaでは逆に投与後に頻度が上昇した。又, 投与期間が15日間以上の例ではP. aeruginosaの頻度が急増した。

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