後継永久歯の位置異常を伴う下顎第二乳臼歯埋伏の1例

  • 細川 由佳
    新潟大学大学院医歯学総合研究科口腔生命科学専攻口腔健康科学講座小児歯科学分野
  • 松山 順子
    新潟大学大学院医歯学総合研究科口腔生命科学専攻口腔健康科学講座小児歯科学分野
  • 田口 洋
    新潟大学大学院医歯学総合研究科口腔生命科学専攻口腔健康科学講座小児歯科学分野

書誌事項

タイトル別名
  • An Impacted Mandibular Second Primary Molar with Ectopic Successor Tooth Germ : A Case Report

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抄録

埋伏した下顎右側第二乳臼歯の咬合面側に後継永久歯である第二小臼歯歯胚が存在した稀な症例を経験したので報告する。 患児は6 歳8 か月の女児で下顎右側第二乳臼歯は完全に埋伏していた。周囲歯肉に発赤,腫脹などは認められなかった。エックス線写真所見で,埋伏した乳臼歯の歯冠遠心上部に石灰化物が認められた。第二小臼歯の歯胚は乳臼歯の歯冠上部かつ近心舌側に歯軸を遠心に傾斜して認められた。6 歳9 か月時に開窓と過剰歯の除去を行い,その後開窓と牽引を行ったが萌出傾向がみられないため,第 二乳臼歯を抜去した。その際,第二小臼歯の歯胚は保存した。第二乳臼歯の抜去から1 年1 か月後,第二小臼歯は萌出した。原因は不明であったが,第二小臼歯歯胚が第二乳臼歯の歯根間に移動する過程で,何らかの障害が発生し第二小臼歯が咬合面側に留まり,第二乳臼歯の埋伏が生じたと考えられた。後継永久歯歯胚の位置が逆転している症例では,永久歯の抜去例も報告されているが,本症例では状態や位置関係を精査した上で永久歯を保存し,萌出まで導くことが可能であった。また,乳歯の埋伏は頻度が少ないものの,永久歯への影響も重大であるため,早期発見と処置が望ましいと考えられた。

収録刊行物

  • 小児歯科学雑誌

    小児歯科学雑誌 47 (5), 773-779, 2009

    一般財団法人 日本小児歯科学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (35)*注記

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