自動pHサイクル装置を用いた乳歯および永久歯エナメル質脱灰の比較

  • 須貝 誠
    北海道大学大学院歯学研究科口腔機能学講座小児・障害者歯科学教室 永山ファミリー歯科クリニック
  • 松田 康裕
    北海道大学大学院歯学研究科口腔健康科学講座歯科保存学教室
  • 永山 正人
    永山ファミリー歯科クリニック
  • 加我 正行
    北海道大学大学院歯学研究科口腔機能学講座小児・障害者歯科学教室
  • 八若 保孝
    北海道大学大学院歯学研究科口腔機能学講座小児・障害者歯科学教室

書誌事項

タイトル別名
  • Comparison of Enamel Demineralization between Deciduous and Permanent Teeth Using the Automatic pH-cycling System

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抄録

口腔内における歯質の脱灰,再石灰化を予測することは,齲蝕の発生,進行の予防,治療において重要である。Matsuda らは口腔内の連続的なpH 変化を再現することが可能な自動pH サイクル装置を開発し,その有効性を報告している。本研究では,自動pH サイクル装置を用いて乳歯および永久歯エナメル質の脱灰を比較検討した。試料は健全ヒト乳臼歯および健全ヒト第三大臼歯を厚さ約150 μm の薄片に調整したものを用いた。装置の設定はMatsuda らの方法に準じ,1 日のpH サイクルの回数は9 回とした。脱灰の評価は,実験開始前と開始後1 週毎に4 週までTransverse Microradiography(TMR)撮影を行い,得られた画像からミネラルプロファイルを算出し,Integrated Mineral Loss(IML)とLesion depth(Ld)を計測して乳歯,永久歯で比較した。その結果,乳歯,永久歯ともに週を経る毎にIML およびLd が増加し,各測定時間において有意差が認められた。また,乳歯は永久歯と比較して各測定時間においてIML, Ld が高く,有意差が認められた。このことから,以下の結論を得た。1 .乳歯,永久歯のIML およびLd の経時的増加から,両群に有意な脱灰変化が認められた。2 .乳歯は永久歯と比較してIML およびLd が有意に増加したことから,乳歯は永久歯よりも脱灰しやすいことが示された。3 .自動pH サイクル装置は乳歯においても,永久歯同様に脱灰,再石灰化を起こすことができることが示されたとともに,乳歯を用いた齲蝕研究に有用であることが示唆された。

収録刊行物

  • 小児歯科学雑誌

    小児歯科学雑誌 48 (1), 48-55, 2010

    一般財団法人 日本小児歯科学会

参考文献 (29)*注記

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