平成18年度 神奈川県合同輸血療法委員会神奈川県内における血液製剤の使用量実態調査心臓血管外科領域

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タイトル別名
  • PRESENT STATUS OF BLOOD USAGE IN THE FIELD OF CARDIO-VASCULAR SURGERY IN KANAGAWA PREFECTURE-REPORT OF THE KANAGAWA PREFECTURAL JOINT MEETING OF THE HOSPITAL TRANSFUSION COMMITTEE FOR 2006 FISCAL YEAR

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抄録

平成18年度神奈川県合同輸血療法委員会では心臓血管外科領域の主要な成人の三術式について血液製剤使用状況を術式別に最大10症例について,県内で心臓手術を実施している38施設を対象にアンケート調査を行った.アンケート回収率は65.8%(25/38)で,有効回答施設は22施設(57.9%)であった.術中輸血の開始は81.8%(18/22)が術者と麻酔医の合議により決定されていた.術中赤血球輸血のトリガー値はHb 7~8g/dl以下が31.8%(7/22),Hb 7g/dl以下が22.7%(5/22)であった.三術式の術中赤血球輸血率は,胸部大動脈瘤に対する人工血管置換術(以下胸部大動脈瘤手術)85.2%,人工弁置換術67.2%,冠動脈バイパス術45.6%の順で,新鮮凍結血漿(以下FFP),血小板(以下PC),アルブミン(以下ALB)も同順であった.全施設の単純平均赤血球使用量も,胸部大動脈瘤手術16.1±17.6単位,人工弁置換術10.4±11.1単位,冠動脈バイパス術7.3±5.2単位の順で,FFP,PC,ALBも同順であった.使用成分の施設間較差を90%値/50%値比で見ると人工弁置換術の赤血球(以下RBC),胸部大動脈瘤手術のRBC,FFP以外はRBC,FFP,PCのいずれも2.0以下で較差は小さかった.しかし,アルブミン使用量は全く使用しない施設が数施設存在するにもかかわらず,使用している施設は29.4単位/人以上使用していた.このため,三術式とも大きな差を認めた.さらに,FFP/RBC比とALB/RBC比の比較においても胸部大動脈瘤手術p=0.0106,人工弁置換術p<0.0001,冠動脈バイパス術p<0.0023と三術式ともにアルブミン使用の有意な施設間差が見られた.貯血式自己血輸血の実施施設は13施設(59.1%)と過半数であったが,実施率は胸部大動脈瘤手術22/149症例(14.8%),人工弁置換術48/183症例(26.2%),冠動脈バイパス術24/195症例(12.3%)と低かった.貯血が実施できた場合の同種血輸血回避率は,胸部大動脈瘤手術9/22(40.9%),人工弁置換術26/48(54.2%),冠動脈バイパス術18/24(75.0%)であった.神奈川県の心血管外科領域手術における輸血療法はRBC・FFP・PCの使用では施設間の平均化が進んでいたが,アルブミンの使用量は施設間較差が大きく,その平均化が今後の課題と考えられた.<br>

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