硬膜外カテーテル挿入後に髄膜炎を併発した直腸癌の1例

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  • Meningitis After Epidural Catheter Associated with Rectal Cancer Surgery

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抄録

症例は73歳,女性.直腸癌の診断で全硬麻下に低位前方切除術,一時的人工肛門造設術を施行した.術後5日目に硬膜外カテーテルを刺入部の液漏れにより抜去した.同日夜に下腹部痛と振戦を伴う発熱が出現し,術後6日目にカテーテル抜去部に皮膚発赤と腫脹を伴う感染徴候を認め,その後に頭痛・項部硬直を認めた.腹部CT検査で縫合不全を認め,髄液検査で細胞数5,072/3mm3,糖36md/dl(血糖値107mg/dl),蛋白108mg/dlと異常値を示し髄膜炎と診断した.抗生剤の投与により軽快した.本症例ではカテーテル挿入時の感染や縫合不全による血行感染が原因と考えられた.持続硬膜外ブロックによる感染は,皮下での軽微なものから硬膜外膿瘍や髄膜炎などの重篤な病態までが起こりうる.感染症の危険があることを絶えず念頭に置き,挿入時およびその後の管理に於ける感染対策を十分に行うことが重要である.

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参考文献 (21)*注記

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