胸腹部打撲5年後に発症した横隔膜ヘルニアの1例

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  • A CASE OF DIAPHRAGMATIC HERNIA DEVELOPED FIVE YEARS AFTER THORACOABDOMINAL TRAUMA

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抄録

胸腹部打撲後5年目に発症した遅発性横隔膜ヘルニアの1例を報告する.症例は87歳,男性.2003年胸腹部打撲,左肺挫傷・左肋骨骨折を受傷したが,胸部X線写真では明らかな異常所見は認めなかった.2008年3月胸腹部痛にて近医受診し,横隔膜ヘルニアを疑われ当科を紹介された.胸部X線写真にて左胸腔内に腸管と思われるガス像を認めた.CTスキャンでは左胸腔内へ脱出する胃・結腸,左無気肺を認め,心臓は右側へ圧排されていた.上部消化管造影で胃の縦隔内への脱出を認め,造影剤は十二指腸に流出しなかった.以上の所見より,外傷性横隔膜ヘルニアと診断し,上部消化管内視鏡での整復を試みたが不可能であり,2008年4月ヘルニア修復術を施行した.術中所見では左横隔膜の背側寄りに手拳大の欠損部を認め,同部位より胃・脾臓・大腸が胸腔内へ逸脱していた.用手的に腹腔内へ還納し,胸腔鏡補助下に欠損部を縫合した.外傷性横隔膜ヘルニアは自験例のように術後数年の経過を経て発症する例もあり,腹部外傷後には遅発性横隔膜ヘルニアも念頭において慎重な経過観察が必要である.

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