胃管再建による食道癌術後に胃管を温存した幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した十二指腸乳頭部癌の1例

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タイトル別名
  • A case report of pylorus preserving pancreatoduodenectomy with gastric-tube preservation for carcinoma of papilla of Vater after esophagectomy

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抄録

要旨:症例は67歳男性.既往歴に胸部食道癌に対する食道亜全摘・胃管再建術(62歳時)がある.平成17年5月より近医で総胆管拡張と肝機能異常を指摘されており,平成18年5月に十二指腸乳頭部癌と診断されて当院を紹介受診した.画像診断で乳頭部に1cm大腫瘍を認め,胆管内進展とOddi筋を越える浸潤が疑われたため,7月に幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を行った.胃管の温存のため栄養血管である胃十二指腸動脈~右胃大網動脈と右胃大網静脈~胃結腸静脈幹を温存し,今永法で再建した.切除標本の組織所見で低分化型腺癌の膵実質への浸潤と12bリンパ節への転移を認め,pT3,pN2,M0,fStage IVaと診断した.術後3年間無再発生存中である.本症例は食道癌術後で左胃動脈,左胃大網動脈が切離されており,胃管の栄養血管である右胃大網動静脈を温存することで,再建胃管の虚血・うっ血を来すことなく,安全に手術を行うことができた.<br>

収録刊行物

  • 胆道

    胆道 24 (1), 119-126, 2010

    日本胆道学会

被引用文献 (4)*注記

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参考文献 (17)*注記

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