原発不明癌で剖検により確定診断された非腫瘤形成性の腎集合管癌(Bellini管癌)の尿細胞診所見

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  • Cytological findings of nontumor-forming collecting duct carcinoma-An autopsy case with mortal systemic metastasis of unknown primary tumor-

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抄録

背景 : 尿細胞診で腎悪性腫瘍を疑うも, 画像上同定できず原発不明癌のまま全身転移をきたし, 剖検により診断しえた腎集合管癌の 1 例を経験したので報告する.<br>症例 : 74 歳, 男性. 深部静脈血栓症で加療中, 坐骨神経痛を主訴に整形外科を受診. MRI で多発骨転移, 尿細胞診で悪性が疑われ精査するも画像上原発巣の特定にはいたらなかった. その後全身状態が悪化し, 左胸水の細胞診でも悪性細胞を認めたが, 生前には原発巣の特定ができず, 剖検により非腫瘤形成性の腎集合管癌と診断された. 尿細胞診では小型で N/C 比がきわめて高い異型細胞が孤立性に出現しており, 核小体の腫大やクロマチンの増量を伴うことから悪性を強く疑った. 全身状態悪化後の左胸水にも裸核状の異型細胞を孤立性および小集塊で認め, 核偏在性で胞体に PAS 強陽性の粘液をみることから, 分化の低い腺癌由来を推定したが, 細胞像のみからの原発巣推定は困難であった.<br>結論 : 非腫瘤形成性の腎集合管癌はまれと考えられるが, 尿細胞診で尿路上皮癌と異なる悪性所見を認めた場合は鑑別診断として念頭におく必要がある.

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