鉛直構造に着目した空っ風の気候学的研究

  • 宮 由可子
    筑波大学大学院生命環境科学研究科
  • 日下 博幸
    筑波大学大学院生命環境科学研究科 筑波大学計算科学研究センター

書誌事項

タイトル別名
  • Climatological Study of the Vertical Structure of the Karakkaze Wind over the Kanto Plain
  • エンチョク コウゾウ ニ チャクモク シタ カラッカゼ ノ キコウガクテキ ケンキュウ

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抄録

関東平野で冬季に吹く局地風「空っ風」について気候学的な解析を行い,日変化や鉛直構造を明らかにした.結果は以下の通りである.①空っ風日の地上風は明瞭な日変化を示す.関東平野の北西~西北西風の卓越する地域では,日中の風速は冬期平均の2倍近くに達する.②空っ風日の境界層上部の風速は昼前に小さく,夕方に大きくなる.③空っ風日の大気の安定度は冬期平均のそれに比べて弱い.これらの特性は,空っ風日には多くの運動量が地上まで輸送されていること,空っ風が熱対流混合風の性格を持っていることを示唆している.④空っ風日の相対湿度・日降水量は日本海側で高く関東平野で低い.1日当たりの日射量は日本海側で少なく関東平野で多い.これらの傾向は冬期平均に比べてより顕著である.以上の結果は,空っ風がフェーン現象を伴っており,この現象がもたらす晴天が混合層の発達をより助け,熱対流混合層の性格をより強めていることを示唆している.

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