口唇裂・口蓋裂児の乳歯のう蝕罹患状況について

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  • Dental Caries in Deciduous Teeth in Children with Cleft Lip and Palate

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抄録

2004年から2006年までの3年間に当科を受診した5歳から8歳の口唇裂・口蓋裂児80名について,乳歯のう蝕罹患状況を調査し以下の知見を得た。<br>裂型別う蝕罹患者率は口蓋裂が100%,唇顎口蓋裂が88.4%,唇顎裂が77.8%で,一人平均df歯数,df歯率は,口蓋裂が7.1歯(49.4%),唇顎口蓋裂が5.7歯(40.6%),唇顎裂が4.3歯(30.5%)で,う蝕罹患性は口蓋裂が最も高く,唇顎口蓋裂,唇顎裂の順であった。<br>う蝕罹患者率は,全体80名で88.8%であり,年齢別では5歳で66.7%,6歳で81.0%,7歳で94.4%,8歳で94.1%と7歳まで増加していた。平成17年度(2005年)歯科疾患実態調査報告との比較では,全ての年齢において裂児の方がう蝕罹患者率が高かった。<br>一人平均df歯数およびdf歯率は,全体80名で5.6歯(40.0%)であり,年齢別では5歳から7歳までは3.2歯(18.1%),5.1歯(33.8%),6.3歯(46.7%)と増加し,8歳で5.5歯(45.1%)と僅かに減少していた。<br>上顎歯全体のdf歯率は42.6%で,歯種別では多い順に第一乳臼歯57.1%,第二乳臼歯50.0%,乳側切歯35.0%,乳中切歯34.8%,乳犬歯27.7%であった。下顎歯全体では37.0%で,第一乳臼歯57.1%,第二乳臼歯48.1%,乳犬歯13.8%,乳側切歯6.5%,乳中切歯0.0%の順であった。上顎乳中切歯以外の全ての歯種および上顎歯全体,下顎では第一乳臼歯および下顎歯全体で,口唇裂・口蓋裂児が実態調査より有意に高かった。また,実態調査ではう蝕罹患率は下顎歯より上顎歯の方が低いが,口唇裂・口蓋裂児は下顎歯より上顎歯の方が高い結果となり,上顎に顎裂を有するからではないかと推察された。

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