生体肝移植の待機中に脾梗塞を認めた原発性胆汁性肝硬変の1例

書誌事項

タイトル別名
  • Splenic infarction in a patient with end-stage primary biliary cirrhosis with splenomegaly before living donor liver transplantation: report of a case
  • 症例報告 生体肝移植の待機中に脾梗塞を認めた原発性胆汁性肝硬変の1例
  • ショウレイ ホウコク セイタイ カン イショク ノ タイキ チュウ ニ ヒコウソク オ ミトメタ ゲンパツセイ タンジュウセイ カンコウヘン ノ 1レイ

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抄録

脾梗塞は比較的稀な疾患であるが,門脈圧亢進症による巨脾を有する末期肝硬変患者に稀に発症することが知られている.症例は44歳女性,原発性胆汁性肝硬変のため生体肝移植を目的に当科入院中,突然の左側腹部痛,39℃の発熱を訴え,造影CTで脾臓に楔状の造影不良領域を認めたため脾梗塞と診断した.保存的治療により病状が改善し,1週間後,予定通り生体肝移植,脾摘術を施行した.術後経過は良好で,患者は15病日に退院した.摘出された脾臓の重量は1,120 gであり,肉眼的に脾梗塞を認め,病理組織学的検索でも細小動静脈に梗塞巣が多発し,好中球浸潤が認められた.一方,線維化,ヘモジデリン沈着が認められなかったため,1週間前に起こった新しい梗塞巣と診断した.以上より,門脈圧亢進症による巨脾を有する患者が左側腹部痛や炎症症状を訴えた場合,脾梗塞を疑い,適切な治療を選択すべきであると考えられた.<br>

収録刊行物

  • 肝臓

    肝臓 52 (1), 36-41, 2011

    一般社団法人 日本肝臓学会

参考文献 (31)*注記

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